言語に関するリハビリテーションを行うプロ
言語聴覚士とは、事故などによって話す、または聴く能力を失ってしまった人、もしくは生まれつき障害を持っている人に、リハビリテーションを施し、言語能力の回復を促す仕事です。
また、口腔機能を高めることで、食事をする力を回復させるという業務もあり、患者さんの生活の質を向上させるために、大きな役割を果たしています。
人間である以上、人の話を聴き自分の意見や感情を口に出すというのは、とても重要なことです。
それによって、生活の質が変化しますし、精神面での影響も大きなものがあります。
こうした言語機能を失ってしまうと、かなりの損失ですが、機能回復は楽ではありません。
そこで、専門的な訓練を受けた言語聴覚士が、その能力を活かして、体系的なリハビリプログラムを組んで、訓練を施すのです。
地道な訓練で時間がかかることもありますが、実を結んだときの喜びはひとしおでしょう。
言語聴覚士が活躍する職場の数々
言語聴覚士が働く職場として多いのが、医療機関と介護施設です。
病院においては、リハビリテーション科や口腔外科、耳鼻科がメインとなります。
がんなどによって声帯を失った患者さんや、事故や脳障害などによって言語機能を失った人が対象となります。
医師との協力関係が求められ、治療を進めると同時に、言語聴覚士によるリハビリテーションを行っていきます。
障害の程度が重いことも多いので、なかなか訓練の成果が現れないような時もありますが、地道に続けていくことで、改善を見ることができて、達成感を覚えることができます。
そして、近年ニーズが急速に伸びているのが、介護施設における仕事です。
脳障害などによって、言葉が不自由になっている高齢者が増えていますので、言語リハビリテーションの重要性が増しています。
口腔ケアや、食事の仕方を改善するなどの仕事もありますので、業務内容は広範囲に及びます。
指定された学校に通った後国家試験を受ける
言語聴覚士になるためには、2つの段階を踏まなければなりません。
最初は、短大や専門学校などで、言語聴覚士の養成講座を受けることです。
この養成学校には、基本的に3年間通う必要があります。
学校によって、教える内容やそのレベルが異なりますので、事前にしっかりと調べて、良い学校を選ぶようにしましょう。
この養成期間を終えると、国家試験を受けることができます。
この試験では、心理学や基礎医学、音声・言語学、社会福祉など、幅広い内容の問題が出題されます。
合格率は65パーセント前後とあまり高くなく、他のリハビリ系の資格と比べても難易度が高めです。
しっかりと養成学校での勉強を行い、試験対策をすることが求められるでしょう。