妊婦と抗癌剤治療

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強い薬と強い病気

「子供がほしい」、その願いは女性であればだれでも持ちうる感情ではないでしょうか。この世に女性として生まれてきて、命を育む喜びは誰しもが憧れ、喜び、望むものです。しかし、若くして体を患ってしまったら、病気さえなければ、そんな気持ちがわきおこってしまうのではないでしょうか。

若くしてがんを発症し、子供を授かることが困難になった女性はたくさんいます。しかし、ガンになった事実を受け止め、必死に子供を授かりたいと願い、治療を行い、そしてついには抗ガン剤を投与したにもかかわらず子供を授かることができた女性もいらっしゃるのです。

ガン細胞を攻撃し、投薬によってその影響を小さくし、ガンに対抗する薬、「抗ガン剤」。その抗ガン剤の影響は攻撃対象であるガン以外の健康な細胞にも影響を与えてしまう非常に強い薬です。ガンを患い、抗ガン剤で治療を行っている患者は抗ガン剤の影響で体中の体毛が抜けてしまったり、吐き気が襲ったり、白血球が減少し、怪我が治りづらくなることだってあります。それくらい体の細胞に影響を与える薬なのです。

これまで抗ガン剤が与える生殖機能に対する影響は十分に考えられていませんでした。ガンになった時に患者が出産できるかどうかよりもその人が助かるかどうかのほうが優先的に考えられていたんですね。しかし、抗ガン剤は非常に強い薬、副作用として体の健康な細胞も攻撃してしまうのですから、生殖機能に対する影響はあったのです。

薬の副作用

抗ガン剤の副作用として、男性の場合は無精子症になる可能性があり、女性に関しては卵巣機能に影響があり、月経が止まってしまうという可能性が高くなります。妊娠をするためには男性の精子、女性の卵子が必要不可欠であり、抗ガン剤の投与はその子供を生むための必要不可欠なものに影響を与えてしまうのです。

妻、夫ともにガンを発症してしまい、抗ガン剤の投与をしたが、出産への希望が捨てきれず、不妊治療の末に妊娠、出産ができたというカップルもいらっしゃいます。現在は抗ガン剤での治療を行う前に精子、卵子などを冷凍保存し、ガンの治療が終わってから出産を行うという対処も可能となりました。このガン治療と妊娠、出産にかんして、アメリカは非常に進んだ医療技術を持ち合わせています。

しかしながら、がん治療の医師と不妊治療の医師はそれぞれ専門分野外の事に関して詳しい対応ができません。照会するという体制も整っていないため、出産したいがん患者をサポートする体制がこれからは必要になるのですね。